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山と便意と私。穴掘る? 手で拭く?持ち帰る? 登山における排便の考察

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日帰り登山では、山登りを始める前にあなたのすべてを出しきっておくことが基本です。

あ、トイレの「大」のお話です。

登山部用語では、昔から男性の場合は「キジ撃ち」、女性の場合は「お花摘み」って呼ばれていました。

猟師が鉄砲でキジを狙うときの格好やお花を摘むときのしゃがむ姿勢から来ていると言われています。

ここから派生した言葉で、カレーライスのことを「キジめし」ってゆーのは登山用語の基本です。

この言葉を考えた人は下痢気味だったのでしょうか。

ちなみに「小」の場合は「コキジ(小キジ)」、「屁」の場合は「カラキジ(空キジ)」となります。

以上、昭和の時代の山岳部の豆知識でした。

トイレがない山でのトイレ

さて。21世紀の登山における脱糞を考えてみます。

最近は登山ブームということもあり、百名山などに登山客が集中し、甚大な環境汚染を引き起こしていると報道されています。

その一方で、登山ルート上でのトイレの整備もすすんではいますが、山の中にトイレを作り、それを維持するためには莫大な費用と労力がかかります。

最初に言ったように日帰り登山の場合は山登りする前に用を足しておくのが鉄則です。

また、いつ便意を催すかわからないような下痢気味の場合は登山そのものをあきらめるべきです。

日帰り登山の場合、山では絶対に「大」をしないと心に決めればそれでokです。

しかしながら、自然界に「絶対」とゆーことは存在しません。

朝はあんなに元気だったのに。

なんでこの状況で急に......

そんなことも十分考えられますから、以下を山行に、いや参考に、用意だけはしていけば平穏な心で過ごせます。

避けられない山での排便

絶食トレーニングとしての山行は別として、普通、山登りではメシを食べます。

平地にいるときよりも多くのカロリーを消費しますから、山ではいつもよりいっぱい食べるって人もいらっしゃるでしょう。

いったん体に入った食べ物は消化され、エネルギーを吸い取られ、腸内細菌の死骸とともに便として大腸にストックされていきます。

日帰りなら我慢もできるでしょうが、行程が2日、3日、4日となると、便秘症の人でないかぎり、便意をもようするのが人間のサガです。

ここで、便意を自由にコントロールできる、つまり、自律神経を思いのままにコントロールできる人は便利です。

山中での「大」を封印すればいいだけだからです。

実際、ヨガ修行者などで、そーゆーことができる人は存在している(心臓を止めることさえできるので、直腸をコントロールすることなど朝飯前)のですが、大多数の人はある時点で便意を感じ、臨界点を超えると自分の意思に反して脱糞に至ります。

設備の整った山小屋であれば、トイレが完備されていて、そこで用を足すことができますが、そんな山ばかりではありません。

必然的に「NOGUSO」のテクニックを習得しておく必要があります。

紙を使わないインド人式トイレの方法

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インド人は「大」の場合でも紙は使いません。

代わりに水と指を使います。

このテクニック、私もインド放浪中に習得しました。

インドのNOGUSOでは、缶詰の空き缶1コに水を汲み、それをぶら下げて、お気入りの場所まで歩きます。

場所が定まったら、水の入った缶をわきにおいて、用を足します。

完全に排便したら、右手で缶をもち、左手の中指と薬指を肛門に近づけます。

缶をケツの上部(尾てい骨の上7cm付近)の背中側に接触させて、水を流し始めます。

背中へ缶を当てる位置が的確なら、水は自然とケツの割れ目を通り肛門を目指して流れていきます。

水が肛門に達したタイミングに合わせて左手の中指と薬指で肛門をやさしく洗い流します。

このとき、確実に自分のンコに触ることになりますが、それは自分の体内からのメッセージを聞く瞬間でもあります。

ンコの感触は日によって変わります。

さらさらしていたり、ねっとりしていたり、あるいはほとんど名残りがなかったり。

自分の身体からダイレクトに発信された身体の声を左手指先で感じてみてください。

おっと。ここで水を使い過ぎると、最後に指先を洗う分が足りなくなってしまいます。

肛門のンコを洗い流したら、よく見える位置まで左手をもってきて、爪の間なんかにンコが付いていないか観察します。

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▲安心してください。ミソです

観察したうえで、缶に残っている水を左手に注ぎ、指先どうしをこすりあわせてよく洗い、あとは数回、左手をパッパと振って、水滴を飛ばせば完了です。

右手は缶を持っているだけで、肛門の洗浄には直接関与してないことに注意してください。

このあとの朝食で、右手の指先を使ってカレーを食べるので、右手は汚物に触れないようにします。

水で処理するこの方法は、寒い時期には少々つらいですが、インドのような暑い環境では爽快です。

洗われて濡れてしまったお尻も、しばらくパンツが湿る程度で、特に拭かなくてもすぐに乾きます。

このインド人式トイレの方法は、処理に困る無駄な紙を使わないすばらしい方法なので、我が国のアウトドアでの脱糞にも活用できますが、いかんせん山では水は貴重品。

水が手に入る環境の山中であれば、ぜひお試しください。

あ、くれぐれも水場や沢から離れた場所で行ってくださいね。

もっと洗練されたオートマチックなお尻処理をご希望のあなたには、こんなものもあります。

その名の通り、携帯できるウォシュレットです。

単3形アルカリ乾電池1個で動きます。これなら空き缶を用意する必要もありません。


日本の場合。災害用に開発された製品 ほっ! トイレ を使う

登山用としては少々かさばりますが、こんな製品もあるので紹介しておきます。

災害対策商品でもあります。

脱糞中の身体を隠すための簡易ポンチョ(ほぼ黒いビニールゴミ袋)やンコが入る袋を自立させておくための型紙なんかも付いていて完璧です。

頂上のトイレが使用不能になってパニックに陥った富士山でも配布されたことがある実力品だそうです。


上記の「ほっ! トイレ」は、4回処理セット入りですが、「大」を1回完了させるために必要な1回処理として考えると、

●ポケットティッシュx1
●型紙x1
●ンコを入れる袋x1
●錠剤x1
●ポンチョx1
●巾着袋x1

の6点のセットとなり、その場合の「ほっ! トイレ」の総重量は約171gです。

前述のように簡易ポンチョが付属しているところがミソです。これさえあれば、遮蔽物がほとんどない富士山、あるいは災害に襲われた都市の路上でもその気になれば”人目を気にせず”ンコできます。

モンベルのトイレキットにみる日本の山のトイレ事情

日本がほこるアウトドアメーカー、モンベル。

登山人口が増え、山における糞尿の問題が取りざたされる昨今ですので、当然、モンベルは解決策を考え、商品化しています。

まずはスコップです。

水場や沢から十分に離れた場所に、これで穴をほり、そこに用を足します。

落ち葉が腐葉土化しているようなところが、ンコを分解してくれる微生物がたくさんいるので最適です。

このスコップは、植物の硬い根っこなどがない地面や雪原で使えます。

臀部をさらす前に、アブやブヨなどの虫、マムシやヤマビルなどの生物に十分注意してからパンツをおろしましょう。

ンコは埋めても、使った紙は持ち帰るのが最近のトレンドです(特に分解されにくいティッシュペーパー)。

ツウな人は使用後の紙に火をつけ、灰にする方法をとることもありますが、山火事には注意してください。

スコップ方式は、自分の糞尿を山に埋めてくる方法ですが、最近の最大のトレンドはやっぱり「お持ち帰り」です。

モンベルからも「お持ち帰り」キットが発売されています。


この O.D.トイレキットの”O.D.”とは、何のことかと思ったら、「アウトドア」の略でした。

もっとすごい秘密があるのかと思っていたので、ちょっとがっかりしました。

この製品は、糞尿を固めるためのアクリル系ポリマーでできた吸水剤、固められたンコ本体を収納するスーパーの買い物袋のようなポリエチレン袋、さらにそのポエチレン袋を入れるナイロン製の防臭袋で構成されています。

これをザックに入れて持ち帰るわけですが、どうしてもザックに入れたくない人のために、使用済みのンコの入った袋や生ごみを入れて、ザックの外側に吊るすことができる専用の袋も商品化されています。

この袋は、縫い目にシームテープ処理がされていて、開口部も3回折り返してバックルでバッチリとめるようになっています。

山で、この袋をザックに取り付けている人を見つけたら、「お持ち帰りのトレンディの人だ」と胸のなかでそっと手を合わせてみてくださいね。

今後期待するNOGUSOグッズ

「地面を直火で焼かない」って考え方が主流になったなかで、どこでも安心してたき火ができるようにするために開発され、爆発的なヒットとなった商品がこれです。

開いて置くだけ。ワンタッチで簡単設営できるたき火台です。

いまや東証一部上場企業となって驀進中のスノーピークの製品です。

折り畳んで収納でき、燃焼促進を考慮して設計された斬新な逆三角錐が秀逸です。

たき火台が作れるんですから、「NOGUSO台」も作れるんではないかと期待しています。

スノーピークの地元、燕三条の金属加工技術を駆使して、どこでも自由に脱糞でき、どんなに大量でもしっかり受け止め、しかも漏らさず、折りたたみも可能ってゆー製品をぜひ開発していただきたいと心から願っております。

製薬会社へのお願い

これまで、山での排便についていろいろ考察してきましたが、私が求めてやまないものは、「便意を止める薬」です。

そもそも屋外で排便することによって、人体の外に出て来た排泄物をどうすればいいかとゆー臭くて深刻な問題が生じてしまっているのです。

そうであるならば、一定期間便意を止めることができれば、山における糞便の処理問題はイッパツで解決します。

糞便は自分のカラダに溜めて自宅までお持ち帰りくださいって仕組みです。

一錠飲めば24時間、2錠飲んだら48時間、排便反射を抑制する薬。縦走の場合はあらかじめ5錠飲んでね、ってゆーのが理想です。

これさえあれば、山小屋利用の4泊5日の縦走でも、トイレに並んで順番待ちする必要もなくなります。

21世紀になって20年近く経つわけですから、そろそろどこかの製薬会社さんで開発してくれませんかね。

私、祈ってます。

下痢はカラダの防御反応ですから、その大切な仕組みを一定期間ブロックするのも危険なわけですが、そこんとこバランスのいい薬を開発していただきたいと切に願います。

 

 

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